七つの子の教育学

大学教員による七人の子育てと教育問題についての雑感

少子化問題(4)女性の生き方の多様性が認められる社会に!

少子化問題について、考えるとき「合計特殊出生率」という平均化された数値が独り歩きすることにより、女性の生き方の多様性が阻害されているように感じます。

「女性」とひと括りにされて対策が議論されていますが、すべての女性が働きながら子育てしていくべきという一元化された価値観が前提とされていることに課題があると思われます。

あまり学問的ではないですが、女性の生き方には大まかに以下のような分類が挙げられると思います。

 

①結婚出産もできたらしたいが、何よりもキャリアを重視したい。

②キャリアを重視しているが、結婚出産もしたい。

③結婚、出産を重視しているが、時間ができたら働きたい。

④結婚、出産を重視して、専業主婦(もしくはパート)でいたい。

⑤結婚は考えていない、または結婚は考えているが、出産は考えていない。

 

現状の少子化対策の議論は②が対象になっています。以前、紹介しました赤川氏は男女共同参画少子化を防がない」と述べていましたように、「男女共同参画」と「少子化対策」を考えるには③と④のグループが出産に前向きになることも重要です。

tiangou1030.hatenablog.com

以前、我が家の現状をブログに書きました。今年4月から妻がフルタイムで働くことになり、最初からこの生活スタイルで子育てしていたら一人、頑張っても二人が限度で、三人ということは考えられないな、と感じています。(知人でご夫婦でお勤めしながら三人子育てしている家庭があります、本当に頭が下がります…)

長年、妻が長い間、専業主婦(またはパートタイムの仕事)であったため幼稚園のママ友たちも当然③と④のグループに属す方が多いです。しかしながら、仕事が優先でないという女性の生き方に対する否定的な見方(例えば単なる怠け者として捉える)や妻を専業主婦でいさせることに対する夫側への風当たりの強さがあることも事実です。子育てしながら専業主婦をするのも大きな社会貢献の一つであることが大きな声で言えないような風潮があるのです。また、夫側も「妻が専業主婦です」と職場などで明かすと「前近代的」「封建的」「男尊女卑」的な夫像として批判の対象にされることがあります。(ちなみに、「妻が専業主婦を望んでいる」ということは信じてもらえないことが多いです)

他方、大学の職場で女子学生たちに訊くと結婚、出産願望は高いです(教育系ということもありますが)。また、③、④のグループのように子育てを重視したいという考えをもっている学生も多いです。こうした大学生の現状は報道で伝えられません。それは、「若者は」とひと括りにされてしまうため、ほとんどの若者に「結婚願望がない」「恋愛しない」などの誤解が生じてしまうのだと思います。

つまり、女性の生き方として潜在的には出産したい、さらにこれを優先させたいと思っている女性がある程度存在しているにも関わらずこれを後押しできていない現状があると思うのです。もちろん、①②のグループのようにキャリアを重視ながら子育てできる環境も整備すべきですし、また、⑤の結婚しない、出産をしないという生き方も認められるべきなのです。

引き続きこの女性の生き方の多様性の問題について考えていきたいです。