七つの子の教育学

大学教員による七人の子育てと教育問題についての雑感

少子化問題、再び。やっぱり共働きで子育てするのは大変…

以前、書きましたが今年度の4月から妻がフルタイムで働いています。今年の4月は妻の再就職、大学、高校、中学の入学、幼稚園の入園と新生活で大混乱です。

妻が仕事に慣れていないこともありますが、4月からの生活がとても大変です。

共働きで子育てするということはこういうことなのか…と初めて知りました。(ちなみに、これまで妻は専業主婦かパート等の非常勤職でした)

先に結論、このような生活では子どもは1人、多くて2人と考える人が多くなるのは当然…という気がしてきます。

そこで、再び、赤川学『これが答えだ!少子化問題』(筑摩書房、2017)より、少子化問題についての考察です。

本書のpp.146~147よれば、著者は、2004年に『子どもが減って何が悪いか!』という本を出版しており、「男女共同参画少子化を防がない」、「少子化対策を高唱することは、かえって人々を結婚や出産から遠のかせる」と主張してきたとのこと。

現在の政府による少子化対策を鑑みれば、これらの主張に耳を傾けられていない現状は明らかです。

著者の主張から重要な点を抜粋。

  1. 「よりよい結婚、出産、子育て、ワークライフバランスを求める現代の福祉的な対 策では少子化に歯止めをかけることは難しい」(p.169)
  2. 「現在の日本でも比較的高い出生率を維持している地域、すなわち村落部のローカル家族や、世帯収入が低いにもかかわらず2人以上の子どもを産む可能性の高い夫婦を、生活水準上昇のメカニズムを巻き込まずに、産み続けてもらえるしくみを考える必要はあるだろう」(pp.169-170)
  3. 「日本の少子化対策を講じる論者には、政策によって結婚や出生行動を左右できるという思い込みが強すぎる」(p.183)
  4. 「待機児童の解消だけでなく、子ども手当保育所義務化、高校・大学などの授業料無償化(ないし引き下げ)、給付型奨学金の拡充といった公的支援の充実などの政策は、社会福祉の観点から正当化しうるし、子育てや教育のコストに悩む夫婦にとって福音となることは間違いない。しかし、この国では「もう1人産む」という選択にはつながらない可能性が高い。」(p.184)

我が家も共働き世帯となり、4にある「この国では「もう1人産む」という選択にはつながらない可能性が高い」に納得します。

では、どうすればいいのという点が問題です。著者は最後に提案をしていますが、結局は「ああすればこうなる」のように少子化を解消することは難しいと述べているのだと思います。つまり、政策レベルで実効性の高い少子化対策ということは困難であり、これを争点にして、政権交代をしても現状を変えていくことは難しいということなのでしょう。

 とりわけ、「男女共同参画少子化を防がない」という冷静に考えれば当たり前のことをどれだけ多くの人が受け入れられるかということでしょう。この「少子化問題」と「男女共同参画」というアンビバレントな問題にどのように折り合いをつけていくのか今後も考察していきます。