七つの子の教育学

大学教員による七人の子育てと教育問題についての雑感

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「産休クッキー」問題について考える

先日、ABEMA Primeで「産休クッキー論争」という話題を取り上げていました。 「産休クッキー」は産休に入る前妊婦さんが、迷惑をかけるからという理由から職場に配るお菓子のことらしいです。それに対して、「マタニティハイでうざい」とか「不妊や子どもが…

知識の獲得が思考力、判断力の基礎となる

前々回、前回に続きまして、松岡亮二編著『教育学の新常識―格差・学力・政策・未来―』(中央公論新社、2021)の3回目です。今回は、その中の第17章 松岡亮二・中室牧子「データと研究に基づかない政策では「教育格差」が変わることはない」を読みました。 序…

経済産業省が進める教育現場のICTの活用

前回に続きまして、松岡亮二編著『教育学の新常識―格差・学力・政策・未来―』(中央公論新社、2021)の続きです。今回は、その中の第11章 児美川孝一郎「EdTech―GIGAスクールに子どもたちの未来は託せるか」を読みました。 児美川氏は総じてGIGAスクール構想…

「教育格差」の議論は何か温かみに欠けている

松岡亮二編著『教育学の新常識―格差・学力・政策・未来―』(中央公論新社、2021)を読みました。編者は気鋭の教育社会学者松岡氏です。おもに副題の冒頭にある「格差」について書かれています。 本書によれば「教育格差」とは、「本人が変えることのできない…

教職を貶める報道が多すぎる!

東洋経済オンラインでこのような記事を見かけました。 「これって教員の仕事?」疲弊する先生のリアル 終わらない業務、保護者からの無理難題に苦慮(朝日新聞取材班 の意見) 「これって教員の仕事?」疲弊する先生のリアル 終わらない業務、保護者からの無理難題…

教育学は二流の学問なのか

今回は竹内洋『革新幻想の戦後史』(2011年、中央公論新社)を読みました。 これを読んだ理由は、久しぶりに「教育学は二流の学問」というフレーズを耳にすることが多くなっているからです。苫野一徳『学問としての教育学』(日本評論社、2022)で紹介されて…

公立高校の共学化と多様性の問題

先日、埼玉県立高校の共学化に関する下記のような記事がありました。男子校、女子校がある埼玉県の県立高校について共学化を求める勧告が出たことを受け、男女別の県立高校4校の同窓会の会長が4月18日に会見し、「学校を選択する多様性を奪うことになる」…

教師とは学びを支援する伴走者?

これまで何度か取り上げていますが、教員のなり手の不足が深刻です。この議論では、「残業が多い、保護者対応が大変」など教員の仕事のマイナス面が強調されます。しかし、教員の仕事のプラス面、すなわち魅力について語られることがあまりにも少なすぎます。…

デジタル教育を問う

久々に投稿します。 物江潤『デジタル教育という幻想―GIGAスクール構想の過ち』(平凡社、2023)を読了。私自身、GIGAスクール構想に対して、そのメリットばかりが強調され、デメリットが議論されないことを危惧しています。これまでも、新井 紀子『ほんとう…